創世記49-50; マタイ13:31-58

創世記

第49章

49:1ヤコブはその子らを呼んで言った、「集まりなさい。後の日に、あなたがたの上に起ることを、告げましょう、
49:2ヤコブの子らよ、集まって聞け。
父イスラエルのことばを聞け。
49:3ルベンよ、あなたはわが長子、
わが勢い、わが力のはじめ、
威光のすぐれた者、権力のすぐれた者。
49:4しかし、沸き立つ水のようだから、
もはや、すぐれた者ではあり得ない。
あなたは父の床に上って汚した。
ああ、あなたはわが寝床に上った。
49:5シメオンとレビとは兄弟。
彼らのつるぎは暴虐の武器。
49:6わが魂よ、彼らの会議に臨むな。
わが栄えよ、彼らのつどいに連なるな。
彼らは怒りに任せて人を殺し、
ほしいままに雄牛の足の筋を切った。
49:7彼らの怒りは、激しいゆえにのろわれ、
彼らの憤りは、はなはだしいゆえにのろわれる。
わたしは彼らをヤコブのうちに分け、
イスラエルのうちに散らそう。
49:8ユダよ、兄弟たちはあなたをほめる。
あなたの手は敵のくびを押え、
父の子らはあなたの前に身をかがめるであろう。
49:9ユダは、ししの子。
わが子よ、あなたは獲物をもって上って来る。
彼は雄じしのようにうずくまり、
雌じしのように身を伏せる。
だれがこれを起すことができよう。
49:10つえはユダを離れず、
立法者のつえはその足の間を離れることなく、
シロの来る時までに及ぶであろう。
もろもろの民は彼に従う。
49:11彼はそのろばの子をぶどうの木につなぎ、
その雌ろばの子を良きぶどうの木につなぐ。
彼はその衣服をぶどう酒で洗い、
その着物をぶどうの汁で洗うであろう。
49:12その目はぶどう酒によって赤く、
その歯は乳によって白い。
49:13ゼブルンは海べに住み、
舟の泊まる港となって、
その境はシドンに及ぶであろう。
49:14イッサカルはたくましいろば、
彼は羊のおりの間に伏している。
49:15彼は定住の地を見て良しとし、
その国を見て楽しとした。
彼はその肩を下げてにない、
奴隷となって追い使われる。
49:16ダンはおのれの民をさばくであろう、
イスラエルのほかの部族のように。
49:17ダンは道のかたわらのへび、
道のほとりのまむし。
馬のかかとをかんで、
乗る者をうしろに落すであろう。
49:18主よ、わたしはあなたの救を待ち望む。
49:19ガドには略奪者が迫る。
しかし彼はかえって敵のかかとに迫るであろう。
49:20アセルはその食物がゆたかで、
王の美味をいだすであろう。
49:21ナフタリは放たれた雌じか、
彼は美しい子じかを生むであろう。
49:22ヨセフは実を結ぶ若木、
泉のほとりの実を結ぶ若木。
その枝は、かきねを越えるであろう。
49:23射る者は彼を激しく攻め、
彼を射、彼をいたく悩ました。
49:24しかし彼の弓はなお強く、
彼の腕は素早い。
これはヤコブの全能者の手により、
イスラエルの岩なる牧者の名により、
49:25あなたを助ける父の神により、
また上なる天の祝福、
下に横たわる淵の祝福、
乳ぶさと胎の祝福をもって、
あなたを恵まれる全能者による。
49:26あなたの父の祝福は永遠の山の祝福にまさり、
永久の丘の賜物にまさる。
これらの祝福はヨセフのかしらに帰し、
その兄弟たちの君たる者の頭の頂に帰する。
49:27ベニヤミンはかき裂くおおかみ、
朝にその獲物を食らい、
夕にその分捕物を分けるであろう」。
49:28すべてこれらはイスラエルの十二の部族である。そしてこれは彼らの父が彼らに語り、彼らを祝福したもので、彼は祝福すべきところに従って、彼らおのおのを祝福した。49:29彼はまた彼らに命じて言った、「わたしはわが民に加えられようとしている。あなたがたはヘテびとエフロンの畑にあるほら穴に、わたしの先祖たちと共にわたしを葬ってください。49:30そのほら穴はカナンの地のマムレの東にあるマクペラの畑にあり、アブラハムがヘテびとエフロンから畑と共に買い取り、所有の墓地としたもので、49:31そこにアブラハムと妻サラとが葬られ、イサクと妻リベカもそこに葬られたが、わたしはまたそこにレアを葬った。49:32あの畑とその中にあるほら穴とはヘテの人々から買ったものです」。49:33こうしてヤコブは子らに命じ終って、足を床におさめ、息絶えて、その民に加えられた。

第50章

50:1ヨセフは父の顔に伏して泣き、口づけした。50:2そしてヨセフは彼のしもべである医者たちに、父に薬を塗ることを命じたので、医者たちはイスラエルに薬を塗った。50:3このために四十日を費した。薬を塗るにはこれほどの日数を要するのである。エジプトびとは七十日の間、彼のために泣いた。
50:4彼のために泣く日が過ぎて、ヨセフはパロの家の者に言った、「今もしわたしがあなたがたの前に恵みを得るなら、どうかパロに伝えてください。50:5『わたしの父はわたしに誓わせて言いました「わたしはやがて死にます。カナンの地に、わたしが掘って置いた墓に葬ってください」。それで、どうかわたしを上って行かせ、父を葬らせてください。そうすれば、わたしはまた帰ってきます』」。50:6パロは言った、「あなたの父があなたに誓わせたように上って行って彼を葬りなさい」。50:7そこでヨセフは父を葬るために上って行った。彼と共に上った者はパロのもろもろの家来たち、パロの家の長老たち、エジプトの国のもろもろの長老たち、50:8ヨセフの全家とその兄弟たち及びその父の家族であった。ただ子供と羊と牛はゴセンの地に残した。50:9また戦車と騎兵も彼と共に上ったので、その行列はたいそう盛んであった。50:10彼らはヨルダンの向こうのアタデの打ち場に行き着いて、そこで大いに嘆き、非常に悲しんだ。そしてヨセフは七日の間父のために嘆いた。50:11その地の住民、カナンびとがアタデの打ち場の嘆きを見て、「これはエジプトびとの大いなる嘆きだ」と言ったので、その所の名はアベル・ミツライムと呼ばれた。これはヨルダンの向こうにある。50:12ヤコブの子らは命じられたようにヤコブにおこなった。50:13すなわちその子らは彼をカナンの地へ運んで行って、マクペラの畑のほら穴に葬った。このほら穴はマムレの東にあって、アブラハムがヘテびとエフロンから畑と共に買って、所有の墓地としたものである。50:14ヨセフは父を葬った後、その兄弟たち及びすべて父を葬るために一緒に上った者と共にエジプトに帰った。
50:15ヨセフの兄弟たちは父の死んだのを見て言った、「ヨセフはことによるとわれわれを憎んで、われわれが彼にしたすべての悪に、仕返しするに違いない」。50:16そこで彼らはことづけしてヨセフに言った、「あなたの父は死ぬ前に命じて言われました、50:17『おまえたちはヨセフに言いなさい、「あなたの兄弟たちはあなたに悪をおこなったが、どうかそのとがと罪をゆるしてやってください」』。今どうかあなたの父の神に仕えるしもべらのとがをゆるしてください」。ヨセフはこの言葉を聞いて泣いた。50:18やがて兄弟たちもきて、彼の前に伏して言った、「このとおり、わたしたちはあなたのしもべです」。50:19ヨセフは彼らに言った、「恐れることはいりません。わたしが神に代ることができましょうか。50:20あなたがたはわたしに対して悪をたくらんだが、神はそれを良きに変らせて、今日のように多くの民の命を救おうと計らわれました。50:21それゆえ恐れることはいりません。わたしはあなたがたとあなたがたの子供たちを養いましょう」。彼は彼らを慰めて、親切に語った。
50:22このようにしてヨセフは父の家族と共にエジプトに住んだ。そしてヨセフは百十年生きながらえた。50:23ヨセフはエフライムの三代の子孫を見た。マナセの子マキルの子らも生れてヨセフのひざの上に置かれた。50:24ヨセフは兄弟たちに言った、「わたしはやがて死にます。神は必ずあなたがたを顧みて、この国から連れ出し、アブラハム、イサク、ヤコブに誓われた地に導き上られるでしょう」。50:25さらにヨセフは、「神は必ずあなたがたを顧みられる。その時、あなたがたはわたしの骨をここから携え上りなさい」と言ってイスラエルの子らに誓わせた。50:26こうしてヨセフは百十歳で死んだ。彼らはこれに薬を塗り、棺に納めて、エジプトに置いた。


マタイ

第13章

13:31また、ほかの譬を彼らに示して言われた、「天国は、一粒のからし種のようなものである。ある人がそれをとって畑にまくと、13:32それはどんな種よりも小さいが、成長すると、野菜の中でいちばん大きくなり、空の鳥がきて、その枝に宿るほどの木になる」。
13:33またほかの譬を彼らに語られた、「天国は、パン種のようなものである。女がそれを取って三斗の粉の中に混ぜると、全体がふくらんでくる」。
13:34イエスはこれらのことをすべて、譬で群衆に語られた。譬によらないでは何事も彼らに語られなかった。13:35これは預言者によって言われたことが、成就するためである、
「わたしは口を開いて譬を語り、
世の初めから隠されていることを語り出そう」。
13:36それからイエスは、群衆をあとに残して家にはいられた。すると弟子たちは、みもとにきて言った、「畑の毒麦の譬を説明してください」。13:37イエスは答えて言われた、「良い種をまく者は、人の子である。13:38畑は世界である。良い種と言うのは御国の子たちで、毒麦は悪い者の子たちである。13:39それをまいた敵は悪魔である。収穫とは世の終りのことで、刈る者は御使たちである。13:40だから、毒麦が集められて火で焼かれるように、世の終りにもそのとおりになるであろう。13:41人の子はその使たちをつかわし、つまずきとなるものと不法を行う者とを、ことごとく御国からとり集めて、13:42炉の火に投げ入れさせるであろう。そこでは泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。13:43そのとき、義人たちは彼らの父の御国で、太陽のように輝きわたるであろう。耳のある者は聞くがよい。
13:44天国は、畑に隠してある宝のようなものである。人がそれを見つけると隠しておき、喜びのあまり、行って持ち物をみな売りはらい、そしてその畑を買うのである。
13:45また天国は、良い真珠を捜している商人のようなものである。13:46高価な真珠一個を見いだすと、行って持ち物をみな売りはらい、そしてこれを買うのである。
13:47また天国は、海におろして、あらゆる種類の魚を囲みいれる網のようなものである。13:48それがいっぱいになると岸に引き上げ、そしてすわって、良いのを器に入れ、悪いのを外へ捨てるのである。13:49世の終りにも、そのとおりになるであろう。すなわち、御使たちがきて、義人のうちから悪人をえり分け、13:50そして炉の火に投げこむであろう。そこでは泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。
13:51あなたがたは、これらのことが皆わかったか」。彼らは「わかりました」と答えた。13:52そこで、イエスは彼らに言われた、「それだから、天国のことを学んだ学者は、新しいものと古いものとを、その倉から取り出す一家の主人のようなものである」。
13:53イエスはこれらの譬を語り終えてから、そこを立ち去られた。13:54そして郷里に行き、会堂で人々を教えられたところ、彼らは驚いて言った、「この人は、この知恵とこれらの力あるわざとを、どこで習ってきたのか。13:55この人は大工の子ではないか。母はマリヤといい、兄弟たちは、ヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではないか。13:56またその姉妹たちもみな、わたしたちと一緒にいるではないか。こんな数々のことを、いったい、どこで習ってきたのか」。13:57こうして人々はイエスにつまずいた。しかし、イエスは言われた、「預言者は、自分の郷里や自分の家以外では、どこででも敬われないことはない」。13:58そして彼らの不信仰のゆえに、そこでは力あるわざを、あまりなさらなかった。


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